『セカンドアフター』vol.2 目次

セカンドアフター vol.2
ブース番号:オ−07

第十四回文学フリマ
会場:東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
開催日:2012年5月6日(日)
時間:11:00〜16:00
サークル名:セカンドアフター
価格:500円

目次

サブカルチャーから見た風景 ――震災・郊外・浜松
hmuraoka

時の流れに響かせて――『STAR DRIVER 輝きのタクト』の声
田中のど

アイ物語――「I copy.」を越えて
tacker10

音楽対談
セカイの終わりのあとに聴こえたもの――『もののけ姫』が鳴らした崩壊と再生
兎男×PIANONAIQ

マンガ対談
日常における未来
イワン×志津A

喪失と希望の対位法――『ほしのこえ』とエグザイルの詩学
てらまっと

サブカルチャーから見た風景 ――震災・郊外・浜松
hmuraoka(@hmuraoka)
震災について語ることへの躊躇いから始まる私的な震災論。自らの足場を問い直すことによって、オタクという身分規定のうちに潜在していた諸問題が浮かび上がる。風景とキャラクターという優れてゼロ年代的な問題系の端緒として押井守(とりわけ『機動警察パトレイバー the Movie』)を位置づけ、その問題系が現在に至るまでにどのような変遷を辿ってきたのかといったことを『苺ましまろ』によって跡づける。オタク論と郊外論との交点に浮かび上がってくるのは、「終わりなき日常」の「終わり」をいかにして引き受けられるのかという倫理的な問いである。

時の流れに響かせて――『STAR DRIVER 輝きのタクト』の声
田中のど(@somesum)
物語それ自体が自らの物語るという行為に対して躊躇いを示す。そのような意味でのメタ物語として読み直される『STAR DRIVER 輝きのタクト』論。そこにおいて焦点が当てられるのは、未だ聞き遂げられない声――物語や歴史がそれを捉えようとし、常にそこから取り逃されるものとして残存する声である。過去のうちに未来への種が発見されるのは、まさに、このような聞き遂げられない声が過去を多様な可能性のうちに開くからであろう。

アイ物語――「I copy.」を越えて
tacker10(@irie_haruki)
これまで人類の想像力を大いに刺激し、多様なイメージを産出してきた宇宙という場。その場に焦点を合わせることによって、戦後から現在までの想像力の変化を、とりわけ、ゼロ年代という時代における変化を問題にするサブカルチャー論。そこで特に注目されるのが、いわゆるセカイ系と呼ばれる作品群が生み出されてきた90年代後半からゼロ年代にかけての時期。その時期に生み出された、宇宙を舞台にした二つの作品(『無限のリヴァイアス』と『プラネテス』)を論じることによって、そのような想像力の変化と孤独という極めて現代的な問題との接続が図られる。

音楽対談
セカイの終わりのあとに聴こえたもの――『もののけ姫』が鳴らした崩壊と再生
兎男(@Usagi_Otoko)×PIANONAIQ(@PIANONAIQ)
死と再生の物語である『もののけ姫』を音楽という側面から論じた4万字の対談。宮崎駿作品の音楽を作り続けてきた久石譲の最高傑作という観点から『もののけ姫』の音楽を取り上げ、精緻な分析を施すことによって、崩壊した風景のうちに見出される希望というこの作品のテーマがいかにその音楽によっても裏づけられているのかということを示す。アニメにおいて重要なファクターでありうる音楽についてどのように語ることができるのか、といった方法論という観点から見ても非常に興味深い野心的な対談。

マンガ対談
日常における未来
イワン(@iwamoso)×志津A(@ashizu)
震災に関わるマンガ作品を取り上げて論じる対談の二回目。今回の対談では、日常をテーマにした諸作品を取り上げる。震災が揺り動かしたとされる日常は、むしろフィクションの水準で形作られていたものではないだろうか。その点で、そうした日常は、常に別の可能性・別の世界といったものを示唆するものとして提示されていたと言える。この日常に留まりつつも、起こりえない出来事へと開かれることは可能なのか。主に取り上げている作品は、『島耕作』シリーズ、『苺ましまろ』、『高校球児ザワさん』。

喪失と希望の対位法――『ほしのこえ』とエグザイルの詩学
てらまっと(@teramat)
震災以後において最も重要な概念とは「移動」である、という観点から論じられる『ほしのこえ』論。風景の作家と見なされている新海誠をエグザイル(故郷喪失)という観点から捉え直す特異な試み。「移動」という観点によって見出される課題とは、「いま・ここ」の重力をいかにして飛翔のための力へと転換させることができるのか、ということであろう。『映画けいおん!』論(「ロンドン、天使の詩:『映画けいおん!』と軽やかさの詩学 ver. 3.5」)とも接続する注目論考。

当日は、『セカンドアフター』第1号も頒布いたしますので、まだ入手していない方は、この機会にぜひお求めください。よろしくお願いします。(志津A)