『セカンドアフター vol.4』目次

ブース番号:テ‐38

第三十四回文学フリマ東京

会場:東京流通センター 第一展示場

開催日:2022年5月29日(日)

時間:12:00〜17:00

サークル名:セカンドアフター

価格:1300円

 

信販売、始めました

secondafter.booth.pm

 

 

【巻頭言】

平成の終わり、日本の「二十一世紀」

志津史比古

 

【討議】

スタジオジブリと平成のアニメ映画

noirse × 志津史比古

 

【論考】

あなたの見る映像

Murderous Ink

 

【論考】

ISILテロ動画を巡る随想と葬送

noirse

 

【音楽対談】

音楽になりえない歌――イスラム国のナシードについて

ピアノナイク × 志津史比古

 

【論考】

ニヒリズムの微光の下で――二〇二一年のいくつかのサブカルチャーについて

志津史比古

 

 

【討議】スタジオジブリと平成のアニメ映画

noirse(@noirse)× 志津史比古(@ashizu)

20世紀が「映画」の世紀だったとすれば、アニメ映画もまた、前世紀的な産物として、その限定された地位をこれから徐々に明らかにしていくだろう。その端緒が平成という時代だったとは言えないだろうか。80年代から2010年代まで、自覚的に「映画」という形式を選択してアニメを作り続けたスタジオジブリの作品を見ていくことは、実写映画の影を追い続けたアニメ映画の半生を圧縮して体験することであり、また同時にその黄昏を視野の先に見据えるということでもある。平成のアニメ映画は何を描いてきたのか。高畑勲宮崎駿を中心に、代表的なアニメ監督の作品を個別に検討しながら、その主題の変奏を論じていく。全4章構成。

 

あなたの見る映像

Murderous Ink(@MurderousInk)

「事実を元にした」という触れ込みで公開される映画は珍しくない。しかしこのとき、その「事実」は「物語化」という名の「再構築」を経ることになる。元々の「事実」のうちに宿っていたかもしれない「真実」は、往々にして、「物語」の背後でその姿を消す。この意味で映像を見るという行為は「真実」を見失う経験そのものでありえる。『スパイの妻』、『イングロリアス・バスターズ』、『白ゆき姫殺人事件』、『パトリオット・デイ』といった映画がそれぞれの仕方で施している「再構築」の手続きを検証することは、映像を見るという行為そのものの問い直しへと至る。

 

ISILテロ動画を巡る随想と葬送

noirse(@noirse)

ここ最近話題になった「倍速視聴」は、映像の視聴環境の変化という点で、イスラム国(ISIL)の処刑動画と一脈通じるところがある。人の死を撮影した映像を容易に見られるようになったネット以後の状況は、かつてスナッフフィルムが生み出していたような「伝説」を無効化する。こうした事態に「映画」はどのように対峙しているのか。それともすでに「映画」は葬送の途上にあるのか。ポスト・ヌーヴェルヴァーグの監督ジャン・ユスターシュを導き手としながら、ジハーディストの実存が今日の消費社会的な(映像)環境といかに密接に絡み合っているのかが示される。

 

【対談】音楽になりえない歌――イスラム国のナシードについて

ピアノナイク(@PIANONAIQ)× 志津史比古(@ashizu)

イスラム国の処刑ビデオに付されたBGMは「ナシード」と呼ばれる一種の讃美歌である。このジャンルの音楽性を網羅的に論じることは難しいとしても、イスラム国との関わりで、彼らがプロパガンダの手段としてそれをどのように位置づけたのかは問題にすることができるだろう。言い換えればここで提起されているのは、ジハーディストにとって「音楽」はイスラムの法とどのような関わりを持つのかという問いである。これは翻ってわれわれ日本人が、音楽に限らず、自分たちの文化的条件に対してどれほど自覚的であるのかという問いとして送り返されることになる。2016年に公開した「サブカルチャーとしてのイスラム国(先行版)」の再録。

 

ニヒリズムの微光の下で――二〇二一年のいくつかのサブカルチャーについて

志津史比古(@ashizu)

ジハーディ・ジョンのようなヨーロッパで育ったようなジハーディストが、逆説的な仕方で示唆しているのは、消費社会の中で「本来的な生」をごまかして生きる者たちが暗に抱えているニヒリズムである。ジハーディ・ジョンが処刑動画の中で画面の向こう側にいる日本人に向かってナイフを突きつけたとき、彼が日本人のことを何も理解していないとしても、また彼の言葉に真面目に耳を傾ける人がほとんどいなかったとしても、その刃先はわれわれが抑え込もうとしている「闇」に向けられていただろう。この「闇」に飲み込まれないためにはどうすればいいのかを、2021年のいくつかのサブカルチャーを通して考える。

 

 

『セカンドアフター vol.4』のテーマは「平成の終わり」です。今号はまた、刊行を予定していた小冊子『サブカルチャーとしてのイスラム国』の内容を引き継ぐものです。

 

文フリ当日は、よろしくお願いします。(志津史比古)