『セカンドアフターEX2012』目次

ブース番号:エ‐65

第十五回文学フリマ
会場:東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
開催日:2012年11月18日(日)
時間:11:00〜17:00
サークル名:セカンドアフター
価格:700円

目次

対談
震災後の遠景――アニメから見た二〇一二年の風景
てらまっと × 志津A

特集:杜王町――『ダイヤモンドは砕けない』から『ジョジョリオン』へ

 杜王町から考える――震災・郊外・吉良吉影
 hmuraoka

 ラブ・デラックスは砕けない
 すぱんくtheハニー

 亜人間は箱入り猫の夢を見るか
 ――『ジョジョの奇妙な冒険』が描く歴史、その断片として

 tacker10

二〇一二年時評

 不可解な怒り、盲目の話者――『氷菓』『Another』を中心に
 田中のど

 三分三十一秒の奇跡――『坂道のアポロン』が奏でたジャズ
 PIANONAIQ

 AKB48の世代交代――夢の場所からの再出発
 Tomonari

エッセイ
「モーニング・エイジ」に生きる――ポスト3・11の幽霊たち
兎男

対談
震災後の遠景――アニメから見た二〇一二年の風景
てらまっと(@teramat)×志津A(@ashizu)
震災後一年以上が経過した2012年の状況をアニメを通して考える対談。希望や未来を暗示する遠景を日常や社会といったそれとは真逆の方向からあえて探っていこうとする試み。セカイ系や日常系といったゼロ年代アニメの傾向のその後を考える対談でもある。主に話題になっているアニメ作品は、『じょしらく』、『雲のむこう、約束の場所』、『映画けいおん!』。

杜王町から考える――震災・郊外・吉良吉影
hmuraoka(@hmuraoka)
サブカルチャー作品を通して郊外における生について考える論考の第二弾。『セカンドアフター vol.2』に掲載された同著者の「浜松から考える」の姉妹編。今回問題にされるのは宮城県仙台市とその地をモデルとした『ジョジョの奇妙な冒険』第4部や第8部。とりわけ吉良吉影に焦点を当てることで、郊外における生の輪郭、その課題を浮かび上がらせる。「郊外で生きる誰もが吉良吉影になりえる」。

ラブ・デラックスは砕けない
すぱんくtheハニー(@SpANK888)
ジョジョの奇妙な冒険』シリーズに一貫して見出される根本的なテーマを、第4部の山岸由花子に焦点を当てることで浮かび上がらせる特異な論考。山岸由花子のエピソードや第8部の主人公・東方定助の物語において試練にかけられているのは、精神の一貫性、その「内在する基準」である。まさにこのような観点から、震災後の杜王町という町に伏在するテーマが立ち上がってくる。

亜人間は箱入り猫の夢を見るか
――『ジョジョの奇妙な冒険』が描く歴史、その断片として

tacker10(@irie_haruki)
伊藤剛の『テヅカ・イズ・デッド』で提示された「キャラ/キャラクター」概念を導きの手として、『ジョジョの奇妙な冒険』における血統のテーマを新しい観点から読み解いていく野心的な論考。「キャラ/キャラクター」の区分がもたらす固有性と交換可能性の議論が郊外における生の問題と重なるとき、未来のテーマが出現する。名もなき者たちへの祝福はいかにしてもたらされるのか。

不可解な怒り、盲目の話者――『氷菓』『Another』を中心に
田中のど(@somesum)
物語における語り手や視点人物という観点から見たときに注目すべき2012年のアニメ作品として取り上げられるのは『氷菓』と『Another』。ミステリー小説の構造において重要なファクターとなりうる語り手と視点人物は、そのアニメ化においてどのような表現や軋轢を示すに至ったのか。同種の観点から近年のアニメ作品を概観することによって、こうした構造的な問題が『氷菓』/『Another』のテーマ設定と大きな関わりのあることが示される。

三分三十一秒の奇跡――『坂道のアポロン』が奏でたジャズ
PIANONAIQ(@PIANONAIQ)
2012年の注目すべき音楽系アニメ作品として取り上げられるのは『坂道のアポロン』。渡辺信一郎監督と菅野よう子という『カウボーイビバップ』以来のコンビが、この作品の物語それ自体において重要なモチーフである音楽(ジャズ)というものをどのように描き出すに至ったのか。精緻な分析によってこの作品の魅力が十全に語られ、音楽系アニメの可能性が模索される。

AKB48の世代交代――夢の場所からの再出発
Tomonari(@tomonari_u)
前田敦子の卒業とチーム4の解散。2012年に起こったこの二つの出来事は、単にひとつのアイドルグループ内での出来事という以上に、世代交代はどのようにしてありうるのかという極めて現在的な問題を提示していると言える。いわゆるネタ消費に示されるようなシニカルな精神の克服といった課題はいかにして可能なのか。AKBファンの熱さにそのヒントがある。

エッセイ
「モーニング・エイジ」に生きる――ポスト3・11の幽霊たち
兎男(@Usagi_Otoko)
震災以後の時代とは「モーニング・エイジ(喪の時代)」であるという観点から語られる幽霊論。死者との再会という観点から、『遠野物語』第99話のエピソードを中心に、現在のアニメ作品(『星を追う子ども』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』)と近代文学との照応関係が示される。宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』で示したような死者との別れの時間としての喪の時間がここにはある。

当日は第1号と第2号も頒布いたします。よろしくお願いいたします。(志津A)